事業承継は早め早めの準備が重要です。後継者への
スムーズなバトンタッチで会社の永続的成長を。
株式会社オフィスミツヒロ 代表取締役・税理士 光廣 昌史さん
2017年、団塊世代経営者の年齢が一斉に70歳を超え、まさに事業承継の決断が喫緊の課題となっています。中小企業庁の調べでは、既に事業承継の準備をしていると答えた経営者は、50代で33.3%、60代で42.9%、70代で49.5%と、いずれも50%に満たない状況です。何と80歳代でも47.7%しか準備をしていないと言う結果で、経営者が高齢化する一方、事業承継は遅々として進んでいないことが示されています。特に創業経営者となると、ワンマンではないにしろ一代で会社を築き上げ、仕事オンリーの方が少なくありません。そのため、事業承継のことまで考える暇がなく、そのまま手をつけず今に至ってしまったケースが多いようです。ただ、事業承継では、後継者を決定するだけでなく、経営者が保有している株式や資産の整理、後継者への移転、また関係者との調整など、クリアしなければならないことが山積します。あわせて後継者の方への教育のことも考えると、事業承継にはある程度の時間が必要ですので、早めに準備をすることが重要です。中小企業庁のガイドラインでは、計画的な事業承継を進めるために60歳を着手の目安としています。
事業承継をする上で、株式や事業用資産の整理や移転はもちろん重要なことですが、経営者の大きな悩みはというと「後継者をどう決めて、どう育てていくのか」に尽きると思います。ご子息の方が事業を引き継いでくれる場合はもちろん、従業員の中から後継者を選ぶ場合でも、引き継ぎは短期間でできるものではありません。後継者教育には、少なくとも5年から10年間は必要です。
なぜなら会社が今後も永続的な成長を続けられるかどうかは、後継者の方の経営者としての覚悟と力量にかかっているからです。
しかしながら、承継にあたって経営者側は「何から引き継ぎすればいいのか」、「社長交代で業績が落ちないだろうか」などの大きな不安や迷いを抱え、後継者側も「従業員は自分についてきてくれるのか」、「経営って何だろう?」「何から始めたらいいのだろう」などいろいろ悩みを抱えます。そこで当オフィスでは、後継者の方の教育支援として、「後継者の羅針盤」という勉強会を毎年開催しています。
「後継者の羅針盤」
5か月65時間のスケジュールで、経営者になるための力を体系的・体験的に学んでいく
「後継者の羅針盤」では、実際に経営者として実践すべきことに重点を置き、企業経営の必須要素であるビジネスモデル、財務、人・組織、そして統治基盤の4つについて学び、事業承継と経営革新を行うためのノウハウを身につけていきます。難しい理論や知識ではなく、経営者として本当に知っておかなければならないことを体系的・体験的に、5か月65時間と言うスケジュールで深く理解していきます。あわせて経営者としての分析力と経営力を鍛えていくために、積極的な自己啓蒙のきっかけ作りも行います。
実は、経営者が変わる時に、見えなかった問題や気づきながらも対処していなかった問題などが一挙に表面化することが少なくありません。多くの人が経験するであろう事態に陥る前に、隠れていた問題を直視・分析することで、後継者の方がその問題に向き合うことができます。社長交代の時期だからこそできることをこの勉強会を通じて知っていただければと思います。
経営者の立場として、どこかで潔く任せるという勇気が必要だと思います。いつまでも「私がいなくては」ではなく、どこかで判断して後継者に任せ、後ろ盾となる方が後継者も成長します。
まだまだ自分は働けるんだと思っていても、いつ病気で倒れてしまったり、認知症になってしまうかわかりません。そうなってからでは遅いため、10年近くかけて対策を立てていくことをお勧めしています。先延ばしにしてしまったがために、今ギリギリになっている人も多いようです。60歳くらいの時から準備作業をし、70代くらいで引退して、会長という立場で後ろから見守っていく形が望ましいと思います。この勉強会を通じて、後継者の育成とスムーズな事業承継をサポートできればと考えています。詳しくはお気軽にお問い合わせください。