通夜の場合、勤務先などで訃報を受け喪服が用意できなくて困ったという方も多いと思います。しかし喪服を着ていくと故人の死を予期していたように受けとれてしまうこともあり、通夜の服装は喪服でなくても良いとされています。男性の方なら黒や紺、グレーのダークスーツ。女性なら黒や紺、グレーのスーツやワンピースなどでよいでしょう。男性の場合は余裕があれば黒ネクタイ、黒の靴下を着用すると良いでしょう。
喪服はもともと、喪家側が着用するものでしたが、最近では葬儀に参列するほとんどの方が喪服を着用されているようです。男性は、黒ダブルのスーツに黒ネクタイで、黒のベルト、黒の靴下、飾りのついていない黒の靴を着用します。女性は、洋装なら黒のワンピースやスーツで靴やハンドバックなども黒のものを合わせます。アクセサリーは原則としてつけませんが、つける場合は真珠やブラックオニキスなどで一連のネックレスにします。イヤリングは一粒パール程度のものを選ぶようにし、華美にならないよう注意します。和装の場合は黒の一つ紋か三つ紋、帯や草履は黒で、白足袋を着用します。
中学生・高校生なら学校の制服が正式礼装になります。小学校や幼稚園でも制服がある場合は制服、無い場合は白のシャツに黒や紺、グレーなど地味な色の上着やズボンを併せます。靴下は黒か白で。靴は黒のローファーなどを履かれるとよいでしょう。
不祝儀袋の様式は、参列する通夜・葬儀の宗教・宗派に合わせたものにします。いずれの宗教の場合でも名前は封筒の中央下部にフルネームで書きます。
仏教の場合は白黒または銀色の結びきりの水引で、表書きは「御香典」「御香料」「御霊前」「御仏前」を用います。また浄土真宗では「御霊前」は使わないとされていたり、「御仏前」は四十九日以降の法要に用いるという説など様式は宗派によって様々です。弔問に訪れる場合、喪家の細かな宗派まではわからないというケースが多いでしょうから、この場合ご自身が信仰される宗派の様式で書かれると良いでしょう。
神式の場合は白黒または銀色または白の水引を用い、表書きは「御玉串料」「御榊料」「御神前」とします。キリスト教式の場合は白無地の封筒か十字架や白百合などが印刷された専門の不祝儀袋を用い、表書きは「御花料」とします。
香典の金額は故人との間柄、自分の年齢によって金額がかわります。一般的には知人・友人やご近所の場合で「3千円〜1万円」、祖父母の場合で「1〜3万円」、兄弟姉妹の場合で「5万円」、両親の場合で「5〜10万円」が相場のようです。
香典の中袋の表中央に金額を、裏右下に住所と名前を記入します。お札は人物が上に来るようにして入れます。不祝儀袋は上の折り返しが上になるようにして包み、ふくさなどに包んで持参するようにします。
香典を渡す時は受け取る相手が名前が読める方向にして差し出し、「この度は御愁傷様です。」と一言添えます。祭壇にお供えするときは、自分が名前が読める方向に置きます。
焼香は会場のスペースの都合などにより、立って行う立礼焼香、座って行う座礼焼香、香炉を順にまわして行う回し焼香のいずれかのスタイルで行われます。お香は粉末状の抹香または線香どちらかを用います。通夜や葬儀・告別式では、抹香が使われることが多いようです。
焼香の順番がまわってきたら、左手に数珠を持ち、右手の親指、人差し指、中指で抹香をつまみ、額に押し頂いたあと(浄土真宗では押し頂かない)、遺影や祭壇に向かって合掌します。焼香の作法回数は1回〜3回、または回数にこだわらないなど宗派によって異なります。また線香の場合も折って横にする浄土真宗や長い線香を1本立てる臨済宗、3本立てる日蓮宗、曹洞宗、天台宗、真言宗など宗派により異なります。いずれにせよ故人のご冥福をお祈りする気持ちが大切ですからあまり様式は気にせず、自分の宗派の様式で心を込めてご焼香すれば良いと思われます。