子どもたちが喜んでお墓参りに行きたくなる
そんな楽しく素敵な墓苑を作りたいと思います。
有限会社お墓の日光 代表取締役社長 前田 哲弥さん
仁徳天皇稜の前方後円墳は有名ですが、各地に残る古墳に見られるように、亡くなった人をお墓に埋葬する歴史は古代にまで遡ります。ただ、古墳は天皇など支配階級のお墓に限られたもの。一般庶民がお墓を建てるようになったのはそのずっと後の江戸時代になってからのようで、現在一般的なお墓の形である角柱の三段墓が普及し始めたのもこの頃です。当時は、お墓は一人に一つの個人墓が一般的でした。
そして大正時代から昭和初期にかけて、墓地の不足などの理由から一般庶民も土葬から火葬へと変わり、「○○家之墓」という代々墓(合祀墓)のスタイルになってきたのです。
洋光台やすらぎ墓苑
(広島市南区向洋新町)
このようにお墓が今のスタイルになるのはさして古くはなかったのですが、そのスタイルも現在、変化が見られるようになりました。というのも、少子高齢化と核家族化が進み、昔のような大家族での同居はありません。あっても2世代同居で、3世代同居というのは稀です。核家族が増えたことで、戦後に普及した先祖代々のお墓の維持が難しくなってしまいました。
例えば子供がいない夫婦の場合、お墓を建てたいと思われてもお二人とも亡くなられた後は、お参りをする人がいなくなってしまいます。また、子供がいても娘さんのみの場合は同様です。お墓を建てても無縁墓になったらどうしようと悩まれるわけです。
樹木葬
デザイン墓
そんな事情から最近では、夫婦専用墓を作り、「お二人とも亡くなられた後には無償で納骨堂へ移します」としている墓苑もできました。これなら安心してお墓を建てることができます。
また、お墓に入られる方の趣味や人生観をお墓のデザインに取り入れて、自分専用のお墓を建てる方もいます。ゴルフが好きだったから、ゴルフボールやクラブの形をした花立を作る方、競馬が好きだったからお墓にも馬を彫る方、また旅行が好きで世界中に旅行に行かれたということで地球儀を再現された方がいらっしゃいます。昔はこのようなデザイン墓は少なかったのですが、今では約4割くらいの方がデザイン墓や和洋折衷の墓を選ばれています。そのため大きな墓はだんだんと少なくなり、コンパクトなお墓が選ばれるようになってきています。極端な話をするとお墓は一人に一つ、好きなデザインのものを建てるという時代になっていくかもしれません。 それを考えると最近のお墓事情は時代を逆行し、代々墓から個人墓の時代へと戻っているような感じを受けます。
お墓の展示会
自然葬
休憩スペース
納骨堂
これまで私たちの仕事は、あくまでも墓苑造りや墓苑開発をすることでした。しかし最近では、終活の要素も加わり、お墓のことはもちろん、葬儀、仏壇、遺産相続、成年後見人制度など、いろいろな相談を受けるようになってきました。現在、お墓の日光では専門的な分野を行政書士さんや司法書士さんのお力をお借りし、コラボしながらお墓の展示会を年3回開催致しております。
墓苑業界も大きな変換期を迎え、この先どう変わっていくかは私たちにもわかりません。ただ方向性として、墓地を一つの聖地として日常とは違う空間作りをしていく必要性を感じています。
これまでも、墓苑をバリアフリーにすることはもちろん、トイレや水汲み場、休憩スペースを設け環境を整備し、管理スタッフがいつも清潔に墓苑を保つことで、女性の方でも安心して気持ち良く参られるよう工夫を凝らしてきました。
今後はさらにお墓の周りの景色や雰囲気、環境を整え、お参りされる人やお墓を建てられる方が、「ここに眠りたい」「ここに墓を建てたい」と思えるような墓苑造りをしていきたいと思います。子どもたちが喜んでお墓参りにいきたいというな墓苑。大げさに言うとディズニーランドのようなテーマパークを作る発想が必要なのかもしれません。
今はお墓にたくさんのことが求められるようになってきました。お墓も多様化し、お墓を建てる際にも多くの選択肢があります。皆さまがそれぞれ持っていらっしゃるお悩みをしっかりお聞きした上で、その方に一番あったお墓を選んでいただけるようお手伝いをしていきます。